シュールじゃけぇ。(アイロン篇)



Vemod / ANEKDOTEN

Artwork : Teolinda
Label : Virtalevy
Country : Sweden
Released : 1993

スウェーデン産ロックバンドのファーストアルバム。私が持っているのは1995年に日本のArcàngeloからリリースされたもので、ボーナストラックが1曲追加されている。

ジャケットは何処となくBLACK SABATHのファーストアルバムを彷彿させ、左に佇んでいる女性の周囲に何故かアイロンが転がっていて不可思議さを増長させている。シアンとマゼンダで印刷された冷たい画像はとても北欧らしい。

クレジットを見ると、“Photography” はThomas Södergren、“Design and Layout” はTeolindaと記載されている。Teolindaはバンドメンバーでチェロとメロトロンを担当しているAnna Sofi Dahlbergの別名で(フルネームがTeolinda Anna Sofi Dahlberg)、彼女は他のアルバムのデザインも手がけているので、インナーのメンバー写真がThomas Södergren、ジャケットの写真(或はアイデア)がTeolindaという理解で良いのだろうか??

音楽スタイルはプログレッシヴロックで、元々KING CRIMSONのコピーバンドが前身なだけあって、彼らからの影響をもろに受けている。そこに北欧的といえる様な冷たくて暗い要素が加わっていて、特にチェロに依る物悲しいメロディが本家や他のフォロワーバンドとの差別化に貢献していると思う(残念ながら4th以降、チェロは鳴りを潜めてしまったけれど)。個人的に本家であるKING CRIMSONは、いまだに「21世紀の精神異常者」と「RED」くらいしか聴いたことがなく、しかも2枚とも全然好きではありません。にも拘らずANEKDOTENに惹かれたのは、ジャケットの醸し出す妖しい雰囲気と、暗くて物悲しいメロディに因る所が大きいのかな。…と言いつつ、初めて聴いたアルバムは2ndの「Nucleus」で、やたらとヘヴィで硬質なサウンドと、屈折しまくりな展開がツボに嵌って他のアルバムにも手を出したんだけど。

日本盤のボーナストラック「Sad Rain」は、日本人好みな泣きメロ満載曲なので、購入するなら日本盤がお勧め。ただ「アルバムに似合わない」という理由でオリジナル盤には収録しなかったとのことなので、日本では本編よりもボーナストラックの方が人気が高いことについて、アーティストとしては複雑な気分かもしれない。

ヘビー度   :★★★★
コピー度   :★★★★
メランコリー度:★★★★